鍋あり谷あり

テーマを決めずに適当に書いています。

最近の若者は……じゃなくて

今日。
娘(ゼロ歳)をベビーカーに乗せ、近所を散歩していた。私と娘の二人きり。
年配の男性(70歳ぐらい?)が歩いていた。近所のスーパーの袋を二つばかり手に提げ、うつむき加減。
彼の歩みが徐々にゆっくりになり、うつむき方もうつむき加減どころではなくなり、そのまま倒れた。
何につまずいたのでもないので、その点はすごく心配な感じだった。
とはいえ。倒れ方が非常にゆっくりだったのでそれほど痛くはなさそうだったし、意識を失って倒れたという感じでもなかった。
で。
ベビーカーの車輪をロックし、年配の男性に駆け寄った。案の定、意識はあった。
「救急車呼びましょうか?」
「大げさにしないでくれ。大丈夫だから」
大丈夫な人はあんな倒れ方をしないだろ、と思いつつ、無理な姿勢になっているので、せめて座らせようと、声をかけつつ体を起こそうとするんだが、うまくいかなかった。やっぱり全然大丈夫じゃないじゃないか。
そこに、40ぐらいの買い物帰りとおぼしき女性も登場。
「大丈夫ですか?」
「ちょっと手を貸してくれたらもう歩けるから」
嘘つけ、と思いつつ、仕方ないので二人がかりで彼の体を立たせてみたんだが、やっぱり独りでは立っていることもできなかった。
「家はどこですか?」と私がたずねると。
「あの角を曲がってちょっと行ったところ」
教える気があるならちゃんと説明しろ。と思いつつ「お名前は?」
「谷口和明*1
で。私は娘と一緒なので動きにくいということをわかってくれたのか、
「じゃあ家の人を呼びに行きますから」と、彼女は買い物かごを置いて、家を探しに行ってくれた。
しかし、彼は彼女が立ち去った後も「家になんて誰もいねーよ」などと悪態をつくばかり。
彼を支えるのに疲れたし、自力で立てないのに立たせておいたら疲れるだろうという配慮もあり
「座りましょう」と声をかけて座らせようとするんだが、なんか抵抗する。立っててもいいことないだろ、と思い、かなり強い口調で「座りましょう」と何度か声をかけたら、やっと協力してくれた。
たぶん、2〜3分かかって、ようやく座らせることに成功。
なかなか帰ってこないなぁ、やっぱりあんな説明じゃ家は見つからないよなあ、と思いつつ、娘に目をやると、泣きもせずにこちらを見ていた。泣かないのはありがたい。
しばらく待っていると、初老の女性がこちらに歩いてきた。
「どうしたの?」
「いや、下向いて歩いてたら転んじゃって。そしたらこいつが大げさで」
なんだとこら。と思ったが、黙っていた。

で。
座っていたおかげで回復したのか、彼は自力で立ち上がれるようになっていた。なんとか彼はスーパーの袋を初老の女性に持ってもらいつつも、自力で歩き、家路についたんだが、その時も「まったく大げさなんだよ。ちょっところんだだけなのに」などと悪態をつきつづけていた。

残されたのは、私たちと、男性の家の人を呼ぶために奔走している女性の買い物かご。
数分後「なかなか家が見つからなくて」といいながら、彼女は帰ってきた。
「なんか、自分で歩けるようになったみたいで」
「ああ、すれ違いました」
なんて会話をしつつ、他人に戻った。

で。感じたことは:
こういう時、私が助けようとした相手が若者だったりすると、「最近の若者は礼儀を知らない」と罵られることになるんだろうが、今回の場合はジジイなので「年取って頑固になっちゃったんだね。仕方ないよ」とかいうことになりがちだと思う。
しかし。頑固になろうが何だろうが、無礼なジジイであることにはいささかの違いもない。
ここはひとつ「最近のジジイは礼儀を知らない」ということにさせていただきたいと思う*2

それと関連して優先席。
譲られる方は黙って立っていて、譲る方が先に「どうぞ」と言わなくてはいけないのは、おかしいと思う。
譲られる方が本当に譲ってほしいと思っているのかどうかを譲る側が的確に判断するのは難しいんだから、譲って欲しい人が先にアクションを起こすべきだと思う。大人なんだし。
老人かな? と思って「どうぞ」と言ったのに「バカにするな」とかいって怒り出すじじいもいるし、どう見ても外見上は健康そのものの若者なのに、実は疾患を抱えていて立っているのがやっとという場合もある。
鉄道の側も、そういう仕組みを用意したらいいと思う。優先席に座りたいですバッジみたいな。

いやあんまり関連はないか。
#写真と本文は関係ありません

*1:本当はそんな名前じゃなかった。これは仮名

*2:無論これは過度な一般化なんだが、その点も「最近の若者は……」とまったく同じ