鍋あり谷あり

テーマを決めずに適当に書いています。

Body Style Water

コカコーラ社の新製品、Body Style Water (ボディースタイルウォーター) を飲んだ。
ひとくち目が口に入る前に、柑橘系の味を想像させる香りが鼻腔に広がる。
そして、ひとくち目が口の中にはいると、期待は裏切られる。舌からは何の味も感じられない。無味。
そしてその後、緩やかに苦みが立ち上がる。柑橘系の香りに翻弄された嗅覚がその味を薄まったグレープフルーツジュースの味だと脳に伝えようとするが、じっくり味わうと、そこにはもっと研ぎ澄まされた何かがあることがわかる。
苦みは決して強い自己主張をせず、淡く、薄く、味蕾を刺激するが、味覚に神経を集中すると、そこには底知れぬ奥深さと腰の強さがうかがえる。
液体がのどを過ぎる頃、緩やかな苦みは、苦みの記憶と弱まりつつある刺激が渾然となり、苦みという範疇にとどまりながら別の味に変質する。
そしてもうひとくち。完全なる無味から立ち上がるほのかな苦みに対する期待は見事に裏切られる。決して鋭くはないが、確かな、そしてひとくち目では味わうことのできなかった別の苦みが緩やかに舌を覆う。
ふたくち目がのどを過ぎ、味が徐々に変質していっても、苦みの記憶とさわやかな刺激がひっそりと後に残る。
そんな、とても心地の良い不味さであった。